インドネシアで働く日本人には主に日本本社から「駐在員」として赴任される場合と、現地法人や駐在員事務所で求人を行い雇用される「現地採用」の2種類があります。必要な人材を見極め、求人情報を出すことが重要です。
インドネシアでの日本人の採用とは
求人募集を現地で行うため、インドネシアを拠点に活躍したい方を採用しやすいことが特徴で、現地での留学・就業経験がある方、現地の方と結婚されている方など、インドネシアに精通した日本人の採用に向いてます。
また、最近ではインドネシアとこれまで関係はなかったものの海外での就職を希望する方や日本でお仕事を辞められて夫に帯同して来られた駐在員の妻などといった求職者も増えており、このような方々も仕事に対する意欲が高く、現在インドネシアで活躍されている方が増えています。
- すでにインドネシアでの滞在経験・就労経験があるので、現地での生活に心配がない。
- 英語やインドネシア語ができるので、現地スタッフとのコミュニケ―ションが取れる。
- 日本人としての考え方や働き方がわかっているので仕事を任せやすい。
- 駐在員のような任期がないので、長期で働いてもらえる可能性が高い。
- お客様の対応は日本人が担当するということで信頼を得やすい。
- 駐在員規定によらないので赴任のための諸々のコストがかからない。
募集から勤務開始までの流れ
インドネシアで日本人の求人から採用・雇用までの主な流れです。
- 求人募集
主な日本人求人の方法とメリット、その注意事項は以下の通りです。
①人材紹介会社
メリット:最も効率的に採用候補者を集められる。
デメリット:紹介料などの費用が発生する。
②知人の紹介
現地での交友関係が広い採用担当者が実施することがあります。
メリット:人材紹介料がかからない・知人の紹介なので安心
デメリット:複数の候補者と比較できない
:採用前に確認漏れにより、後々問題になることがある - 面接
候補者の方が日本にいる場合、会社の雰囲気や一緒に働く従業員を見てもらうためにも一度はインドネシアで対面において行うことが望ましいとされていますが、コロナ禍以降オンライン面接が主流です。日本本社で対面面接を行ったり、当地在住の候補者の方とは、現地での対面面接も行われるようになりました。採用までに2~3回面接をする会社が多いようです。
- 内定通知
採用したい候補者が決まれば、内定通知として採用条件を伝えます。
候補者の同意を得て、仮採用が確定します。内定通知で伝える主な内容給与待遇、役職、契約期間、勤務開始予定日
就職活動中の求職者は複数社で同時期に面接を受けている可能性が高いため、どれだけ早く内定通知を提示できるかも採用するためのカギになります。 - 雇用契約締結
「内定通知=互いの意思確認」に対して「雇用契約=正式な契約締結」となります。
このプロセスは曖昧にする会社が多いのですが、次のビザ手続きにも必要な書類であるだけでなく、お互いの約束事をしっかりと形に残すという意味で非常に大切です。 - ビザ手続き
外国人がインドネシアで就労するためには就労ビザを取得する必要があります。
勤務先の会社で手続きする必要があるため、現在インドネシアで働いている人であっても取り直さなければなりません。手続きには1か月半から2か月程みておく必要があります。 - インドネシア入国
インドネシア国内での就労ビザ手続きが終了するとE-Visaという書類が発行されます。E-Visaと英文新型コロナワクチン接種証明書等の必要書類を持って被採用者はようやくインドネシアへ入国する事ができます。入国までに滞在先を確認しておくことも忘れてはいけません。
入国時に空港入国管理局で入国審査と合わせて滞在許可(ITAS)の手続きを行います。
滞在許可(ITAS)手続きが完了し、晴れて勤務を開始することができます。
日本人採用の待遇条件
駐在員、現地採用に関わらず採用時の待遇条件は求職者にとって重要な要素です。
給与相場
給与は会社の規模、募集する役職、業務内容、専門性、候補者の前職・未経験どうかなどで給与に大きく幅があります。以下はあくまで参考値ですので、実際はこれに当てはまらない場合も多くあります。
・勤続1~3年目の若手社員(月額):2,000万ルピア~2,800万ルピア程度
・勤続3~8年目の中堅社員(月額):2,500万ルピア~4,500万ルピア程度
・管理職や専門性の高い役職(月額):3,000万ルピア~10,000万ルピア程度
福利厚生
給与額は会社の福利厚生にも左右されます。
・給与はそれほど高くない代わりに福利厚生が充実
・福利厚生がつかない代わりにすべて給与に含まれる等、
会社によってその規定は様々です。
- 住宅手当
アパートに住む場合は頭金として1年分支払う必要があるため、そのサポートがある求人は魅力的な案件となる。 - 通勤手当
一般的に通勤用の車と運転手を貸与される。
MRTやオンライン配車サービスも充実により、ジャカルタでは通勤手当は金銭で支給する会社も増えているものの、治安を考慮すると車貸与の求人が人気となる。
製造業などジャカルタ郊外になると車の貸与はほぼ必須。 - 海外傷害保険
日本と比べ、医療事情が悪いインドネシアでは、信頼できる病院で診察を受けると高額な診察料が発生する。
そのため、特に家族のいる求職者は万一のために海外傷害保険を希望されるケースが多い。
海外傷害保険は付与されていないが、年間の上限額を定めて医療費の一部を負担する仕組みを整えている会社もある。 - 一時帰国手当
一部の会社では1年または2年に1度、一時帰国のための航空券代を補助している。日本人であれば定期的に日本に帰国することがあるため喜ばれる。 - 退職金
インドネシアの法律上、期間契約社員扱いとなる日本人の採用では退職金がつかないものの、長期間働いてもらいたいのであれば、退職金を設定することが望ましい。
入社時に退職金について話し合いがされておらず、雇用契約書にも記載されていなかったために、退職時に揉めてしまうことがあります。
日本語ができる現地スタッフのリスク