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U-20W杯インドネシアでの開催中止 スポーツへの政治介入と非難

「スポーツと政治を混同するな」、ジョコ・ウィドド大統領がこう述べた翌日、残念ながらインドネシアはサッカーU-20ワールドカップの自国での開催権をはく奪されてしまった。開催まで2カ月を目前にして、代表チームの出場権もなくなり、選手やファンは落胆に包まれた。

大きな引き金となったのは、6都市ある開催予定都市のひとつだったバリ州と中部ジャワ州の両知事(ワヤン・コスター知事、ガンジャール・プラノウォ知事)が、組み合わせ抽選会を前にイスラエルの出場を拒否すると発言したこと。後日、FIFA(世界サッカー連盟)は、インドネシアの関係者が大会の約束を守らなかったとして開催権をはく奪した。

ふたりの知事はどちらも闘争民主党(PDIP)の党員である。PDIPはイスラム教保守派からの支持が弱く、彼らを見方につけたいという思いがある。特に、2024年2月の大統領選挙の世論調査で常に上位に居るガンジャール氏においては、反イスラエルを強調することで、党への忠誠心と有権者へのイスラム教信認を証明することができる。実際に、PDIPのメガワティ党首は大統領選でどの候補者を擁立するかまだ決定しておらず、ガンジャール氏にとってまさに重要な時期である。

イスラム系政党であれば今回のような動きは「普通」であるようにみえる。しかし、今回に限って反イスラエルを唱えたふたりの言動は、スポーツへの政治介入を露骨に示したと言えるだろう。

事態の調整を図るため、ジョコ・ウィドド大統領は、はく奪が決定する直前にサッカー外交の第一人者であるインドネシアサッカー協会のエリック・トヒル会長をFIFAに派遣した。しかし、スポーツの本質的価値は政治に関係ないと述べる大統領の思い虚しく、インドネシアは大切な機会を失ってしまった。

代表チームの若い選手たちは、この失態は政治家のせいだと非難し、人生の目標を失ったと落胆を見せている。