ジョグジャカルタ式屋台とも言われるアンクリンガン(Angkringan)は、安価で軽食を提供するリヤカー屋台。ジョグジャカルタの観光グルメのひとつであり、トゥグ・パル・プティからトゥグ駅の東口にかけて並ぶいくつものアンクリンガンは、週末や休日には多くの観光客で賑わう。アンクリンガンはソロでも目にすることができ、飲み物、小さな包みに入ったご飯、サテ、揚げ物といった取り扱いメニューや販売形態もジョグジャカルタのそれと類似している。
ジョグジャカルタとソロの特徴的な屋台として知られているアンクリンガンだが、実は発祥の地はこの2つの地域ではなく、中部ジャワ州クラテンのNgerangan村で、2020年には同村にアンクリンガンの記念碑が建てられている。15歳の時に父親を亡くした同村の村民 Karso氏はソロに移住し、そこでWiryo氏に出会った。1943年、2人はアンチョビに濃厚なソースをかけた中部ジャワ料理とテンペや肉の販売を開始した。
その後2人は、飲み物を用意する場所や作り置きの食べ物を置く場所を設けるために屋台を開発。村民たちにもこの屋台を活かして商売をするよう呼びかけた。以降この地域ではほとんどの人が、天秤棒や籠ではなく、移動が簡単なリヤカー屋台を使用して食品を販売するようになった。