長旅の間の貴重なタンパク質源として古くから世界各地で塩卵が食されてきた。塩卵は保存食としてだけでなく、伝統的な儀式や宗教儀式で使用されるほか、郷土料理に欠かせない材料としての役割も果たしてきた。インドネシアでも昔から伝統料理の一部として鶏またはアヒルの卵から作られる塩卵「トロール・アシン」が食されてきた。中部ジャワのブレベス地区の名産品は、とろみのある卵黄が特徴の塩卵。同地区の塩卵には茹でる、ココナッツの殻で焼く、オーブンで焼く、そしてピンダン(塩、醤油、エシャロットやチークの葉などを入れた汁で煮込む)の4つの調理法があり、それぞれ味わいと食感が異なる。
塩卵はそのまま食べても十分おいしいが、さまざまな料理に加工すればさらにおいしくいただける。おいしい塩卵のレシピを3つご紹介する。1つ目は砕いた塩卵の卵黄を海老、カレーリーフまたはライムリーフ、唐辛子、ニンニク、カイエンペッパーと一緒に炒める「塩卵と海老の炒め物」。2つ目は角切りにした塩卵に冷めたご飯、ネギやエシャロットなどお好みの材料を加え、エビペーストを隠し味にした「塩卵のチャーハン」。3つ目は少量の牛乳で伸ばした塩卵の卵黄に熱したバターとニンニク、きのこだし、牛乳を加えた「塩卵のクリームソース」。薄切りして炒めた豆腐などに合わせて。