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紺碧の楽園ワカトビ:世界のダイバーを惹きつける海と文化の深層

(c) travel.kompas.com

スラウェシ南東部(スラウェシ・タンガラ)に位置するワカトビは、息をのむような海の透明度と生態系の豊かさから、世界中のダイバーが憧れる海域である。2012年にはユネスコ生物圏保護区に登録され、大小さまざまなサンゴ礁と多彩な海洋生物が広がるその水中景観は「海の宝石箱」と称されるほどだ。ドロップオフ(崖状の地形)、ゆるやかなドリフトダイブなど、レベルに応じたポイントが多く、海と向き合う喜びを深く味わえる。

しかし、ワカトビの魅力は海の美しさだけにとどまらない。ここでは、海の民として知られるスク・バジョの伝統文化が今も息づいている。家の多くは海上に建ち、潮や風の流れを読む独自の航海術、代々受け継がれてきた素潜り漁など、海と共に生きる知恵は訪れる者に深い学びを与えてくれる。

彼らの食文化も印象深い。新鮮な魚をライムとチリで軽くマリネしたプランギは、セビーチェに似たシンプルな料理だが、バジョの人々にとっては海の恵みへの感謝を示す儀礼的な一皿でもある。その瑞々しい酸味と、海そのままの力強い旨味は、まさにワカトビならではの味覚体験だ。

手つかずの自然、海と共に生きる人々の文化、そして素朴で力強いローカルグルメ。ワカトビは単なるリゾートではなく、訪れる者に「海と人の関係性」を深く問いかける、唯一無二の文化圏である。