スラウェシ島北部に位置するゴロンタロ。この地には、かつて二つの王国を結びつけた伝説のスープがある。その名は「ビンテ・ビルフタ」。ビンテは「とうもろこし」、ビルフタは「注ぐ」を意味し、別名「ミル・シラム」とも呼ばれる代表的な郷土料理である。
味の決め手となるのは、とうもろこしの優しい甘みと、新鮮なカツオやエビから出る濃厚な旨味、そしてライムと唐辛子による刺激的なアクセントだ。一般的なコーンスープと一線を画す最大の特徴は、スープに削ったココナッツを加える点にある。これにより、独特なコクと香ばしい風味が生まれる。
この料理には、深い歴史的背景が隠されている。15世紀、この地にあったゴロンタロ王国とリンボト王国は争いを繰り返していた。当時、バラバラのコーン粒は両国の「分裂」を象徴していたが、それらをスパイスと共に鍋で煮込み、スープへと昇華させることで「統合」への願いを込めたのだという。
大地の実りと海の幸が融合したこのスープは、まさに「食による外交」を体現した平和の象徴。2016年にはインドネシアの無形文化遺産にも登録され、今もなお人々の心を温め続けている。
もうひとネタ!
低脂肪かつ高タンパク、さらに抗酸化作用もあるというから驚きだ。美味しさと健康、そして平和への祈りが詰まった、まさに究極のソウルフードと言えるだろう。



















